BLOG

制作に関する事や
日々の出来事を綴ります。

  1. HOME
  2. ブログ
  3. Bespoke
  4. 憧れを履く – シャドウシューズが紡ぐ時間

憧れを履く – シャドウシューズが紡ぐ時間









憧れを履く──シャドウシューズが紡ぐ時間

憧れを履く──シャドウシューズが紡ぐ時間

シャドウシューズの試着

「高校のとき、センタージップの靴を見かけたんです」

そう話してくださったのは、今回シャドウシューズを試着された方です。

その靴がどこのものだったのか、革靴だったのかスニーカーだったのかも、もう定かではないそうです。
ただ、真ん中に走るジップのラインだけは、なぜかずっと記憶に残っていたと。

何度かお店に足を運んだものの、当時はお金もなく、結局手にすることはなかったそうです。
それでも、その形は、ふと思い出すことがあったとおっしゃっていました。

そして今回、その「いつか履きたかった靴」を、ご自身の足に合わせて仕立てる機会が訪れました。

試し履きのあとに、ぽつりと
「夢が叶った気がします」
そうおっしゃったのが印象的でした。

言葉はそれだけでしたが、そのときの空気が、すべてを語っていたように思います。


NIHILの靴づくりには、いつも“説明しきれない何か”があります。
図面も数値も使いますが、最後は「感覚」でしか合わせられない部分があると感じています。

フィット感もそうです。
履いたときに感じる“自分が整うような感覚”も、そうです。

つくる側も、履く側も、言葉にしすぎてしまうと、その本質が薄れてしまうように思います。

ですので、こちらから語りすぎないようにしています。
感じたことを、その人自身の言葉で語っていただけるほうが、何倍も伝わるからです。


靴は、ただの道具ではありません。
「ずっと心に残っていた何か」が、かたちになることもあります。

そんな一足をお届けできた日は、
少し報われたような気持ちになります。

──今回の靴、仕上がりもよかったと思います。
でもそれ以上に、そこに流れていた空気がよかったです。

それだけで、十分です。


NIHIL bespoke shoeについて詳しくはこちら
NIHIL bespoke shoe 公式サイト

SNSでも日々の靴づくりを発信しています


関連記事