
コードヴァンローファー試し履き — バンプ設計と踵の検証
こんにちは、NIHIL bespoke shoeの靴職人・古賀です。
今回は、コードヴァンローファーの仮仕上げ試し履きを行いました。履き手は標準〜やや幅広の足型で、サイズ感・素材挙動・構造的フィットの確認を目的としています。
甲をバンプで抑える設計
ローファー特有の「甲が浮く」問題に対して、今回はバンプ(甲部の一体パーツ)を立体的に設計し、山の高い部分を低く抑えるように仕立てています。
結果として、足入れ時点での甲の抑えはしっかり感じられ、歩行中も前滑りの印象は見られませんでした。
踵まわりの収まり
踵については、着地〜蹴り出しの局面でややスッポ抜感が見られました。ホールドが弱いというほどではありませんが、ローファーにありがちな踵の浮きが顕在化しています。
今後は踵の立ち上がり角度と履き口の絞り位置の再設定が必要です。履き込み後の沈みを考慮すると、今の設計はやや緩めに出る可能性があります。
サイズ感と全体バランス
ウィズは広め設計。前足部にはゆとりがありますが、甲の抑えが効いていることで、足が泳ぐような感じは軽減されています。踵の課題を除けば、仮仕上げとしてはおおむね狙いに近い収まりです。
素材の反応
使用したコードヴァンは未仕上げの状態。自然光のもとで軽くツヤが立ち、素材本来の質感を把握しやすい状態です。
皺の入りは素直で、履き始めの段階としては反応良好。今後のエイジングでどのように変化していくか、継続観察予定です。
歩行時の印象
革底の返りも良く、着地〜蹴り出しまでの流れはスムーズ。ただし、踵のわずかな浮きによって、足との一体感が若干削がれる印象がありました。
まとめと次工程に向けて
バンプによる甲の抑えは、今回の履き手に対しては十分機能していました。一方で、踵の浮きについては構造と寸法の両面から再調整が必要と判断しています。
特にローファーにおいては、履き心地の印象が「甲と踵の2点の精度」で大きく左右されることを、改めて実感しました。
終わりに
NIHIL bespoke shoeでは、一足ずつの観察と修正を重ねることで、履き手にとっての最適なバランスを探ります。今回の記録も、次の設計に確実に反映させていきます。
NIHIL bespoke shoeについて
NIHIL bespoke shoe 公式サイト
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